元不動産屋による不動産と不動産テックについてのお話

元不動産が考える不動産についての話を書いている。前職の記事もありますが気にしないスタイル

【そもそも賃貸仲介手数料の話】ノマド事業譲渡によりへヤジンプライムと合体について

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イタンジ株式会社は株式会社アセンシャスが運営する「お部屋探しサービスNomad.(ノマド)」事業を譲り受ける契約を締結しました。 - ZDNet Japan

ちょっとホットトピックス

イタンジが運営するへヤジンプライムとアセンシャスが運営するノマドが合体すると。

事前に説明しますと
要はどっちも、賃貸仲介手数料無料で、サイト利用料を数百円でサービス提供することで売上を上げている完全にネット完結型賃貸仲介業です。

とにかくすごいのが、仲介手数料無料でサイト利用料をメイン収益として上げていることです。
※もちろんAD=広告料を貸主側から頂いているであろうことは前提として。

まぁとりあえず、ビジネスモデルとかサービスの全容が知りたい場合は各自ググって下さい。
今日はその初心者向け講習はなしで、本題のみです。

以下、今日は賃貸の話

今後も表向きフリーミアム的な不動産ビジネスはどんどん増えていくと思います。
売買仲介でも仲介手数料ゼロが山ほどいますからね。

まず、彼らと私達が見ている未来は結構近いです。
1.不動産業特有の非対称性を解消したい
2.バブルの残党を殲滅したい
3.簡単に引っ越しできる仕組みを構築したい


この辺間違いなく一致しています。
日本人の生涯引っ越し回数は平均4回。うち購入は約1回です。
メリケンみたいに平均11回。購入5回ぐらいになると。人口減っても仲介業は生き残れるので、レモン市場(情報の非対称性)の構築とか頑張ってしがみついている場合じゃなく、早く引っ越しを簡単にできるようにすべきなんですよ。

ただ、そもそもの話なんですが、ここは明確に違っていて
不当に高い手数料

ではないと私達は考えています。

賃貸業全体を通して、不動産仲介手数料はぶっちゃけ安すぎて死にます。
賃貸業の仲介手数料は賃料の1ヶ月分です。

日本人が賃貸を借りる際、平均で3回物件を見に行くそうです。
3件ではありません。
3回です。

つまり、3回人件費を使うことになります。
その上で、オーナー折衝、管理会社調整、家財保険手配、契約条件交渉、重説読み合わせ、仲介責任を負う仲介印の押印…

ぶっちゃけワンルームだろうが、ヒルズだろうが、手間は変わりません。
ワンルーム賃料5万円で上記の全てを賄うのは正直きついですよ。

仲介手数料は高い高い言われますが、私は田舎者なので、どうしても田舎も包括的に考えるのですよ。日本全国に渡る免許事業なので施策自体が全国に及ぶことを念頭に置くと、決して高くないと考えます。

少し田舎に行くと5万円で3LDKに住めます。
ワンルームなんて2万円です。

一つの契約で各種業務で4日間拘束されるとしたならば、
4日間拘束で2万円は割に合うと思いますか?

私にはムリです。
というか5万円でも困ります。

むしろ安いんですよ。
安すぎて、みんな上京して港区に事務所構えて不動産やればいいんですよ!みたいな気持ちになります。

だから私はね、人が変わるのでもなく、不動産屋が変わるのでもなく、契約と法律が変われと言っているのですよ。

今の賃貸借契約は、更新ありの二年間普通賃貸借か半年から3年前後の定期借家契約しかありません。
本当ふざけていると思うんですよ。もうちょっと契約バリエーションを未来志向に変えなさいよと。

◯地方ファミリー物件の場合
5年契約で月額5万円で賃料300万円先払いとかの契約があって
仲介手数料は総賃料15%とかあればですよ。
全然生活していけるんですよ。

冷静に考えてください。
5年間の生活の基盤づくりにおいて重要な住宅の契約。その契約をもって貸主から自分自身を護る、その他の条件交渉のサポートがたった5万円って。

生活基盤づくりのコスト安すぎでしょう。

実際欧米ではそういう契約もあるようで、フィーの支払いも契約期間総賃料の何%という形式も珍しくないそうです。別に欧米が正しいとも思いませんがね、不動産屋が適切にご飯が食べられるってのが結構重要だと思うんですよ。

こういうことができれば、非常にグレーなAD=広告料もやめられると思うんですよ。

というかですね、そもそもなんで不動産屋は仲介手数料と広告料をどっちも取ろうとするかというと、片手では事業が成り立たないってみんな知っているんですよ。

現状の契約形式、法律では、そりゃ賃料一ヶ月分アッパーになりますよ。だから、契約と法律を変えるほうが重要だと思うんです。

不動産業界における仕組みを変える人たちもいて、まぁ彼らがどうなるか?これ自体は不動産屋としても危機感を持たなければいけませんけどね。
だからといって、いまさらそっちがわにはいけないわけです。
普通の会社はへヤジンプライムとノマドとは違うビジネスモデルなんで、こっちはこっちで生存戦略を高めないといけないわけで、収益構造の健全化を考える時期に入ってきているとは思います。


瞬間瞬間の手間は少ないので、へヤジンプライムもノマドも考えに考え抜いて数百円というサービス利用料金からまかなえるようにしていると思うのです。
それは、新しい収益構造の会社の話。

私は現行不動産屋がどうやって生きていけるかを考えた場合の話なんで、目標は一致していてプロセスが違うんですよね。


あ、売買仲介手数料は、ぶっちゃけサービスの割に高いと思いますよ。