新しい技術と不動産の相性が悪いというかなんかがボトルネックになっている話
最近はIT業界(死語)も時代はフィンテック(Fintech)やー!からリアルエステートテック(Real Estate Tech)がー!!!に潮目が変わってきましたね。
大企業だと、ホームズさんやらリブセンスさんやらが、各マンションの査定額を出すサービスなんか出していますね。群雄割拠です。
「これで売れるんとちゃいますか?」みたいな金額出されて、顧客は何が楽しいのか分からんですし、ビッグデータ価格推定サービスの会社さんは、これが顧客のどの部分の利益になると思っているのか全く分かりませんが。
お客様は、今目の前に内見してきている人がいくらで買付け出してくれるか、つまり一体いくらで買ってくれるか?この情報の方が大事だと思いますけどね(鼻ほじ)
予測数値とかいわゆる相場というものを知って何が得られるのか。
※個人的には日本全体のマネーリテラシーや資産リテラシーが上がればいいなとは思いますが。
売却査定サービスさんも一杯ありますし、うちも使っていますが、まぁなかなか競合他社と一緒に勝負していて大変ですね。
相場3000万円のマンションに4000万円の値を付けて委任をかっさらう某不動産販売とか、もう最初から売却活動開始6ヶ月後に1000万円値下げさせて、それで売るみたいなプラン考えていてもうその会社にお願いした時点で1年売却確定とかとか、見かけの4000万円で「ウッキー!!!」って思ったお客様に媒介契約書を書いていただくようなこともあるみたいですから、まぁあくまで売却活動価格としての査定価格なんでいくらでもいいんだけどさぁ…みたいな鬱々とした気分になります。
そんな中で、10年間ITと不動産を合体させようといろいろやってきて思うことをつらつら書こうと思います。
10年前、SUUMOはなかった
新卒の子とかびっくりするんですが2006年にSUUMOなかったんです。住宅情報ナビとイサイズとかあまたあるリクルートが作った不動産情報誌や不動産情報サイトが1つに統合されて2009年にSUUMOに生まれ変わっています。
余談ですが、私は2009年から2016年の今までに「SUUMOは俺が作った」と言っている人に11人会いました。死ぬまでに100人突破したいですね。
一方、弊社はというと、会社設立時に横浜市の物件掲載数は1000件。翌年には2000件を常時掲載していました。
ぶっちゃけ当時のHOMESの横浜市内掲載数と肉薄してたんじゃないかと思っています。
当時はまだ不動産は不動産屋行って探すものという印象がどこでもありました。
ネットとか不動産屋だけじゃなくてお客様も信用してなかったです。
そうして不動産屋は当たり前にサイトを持つ時代に
2010年には大半の不動産屋がサイトを運営するようになっていました。マジSUUMOとHOMESの影響力すごい。
んでまぁそうすると現れてくるのがSEO会社ですね。まぁこれがクソみたいな金額ふっかけてくるような会社なんでこういう話は割愛。
そうして不動産屋がウェブサイトを運営していくことで、2013年ぐらいからニョキニョキ出てきているのが、「家に関する情報を発信するメディアを運営する会社が現れた」ことです。
ゼロ年代から東京R不動産という偉大なサイトがあって、まぁ不動産メディアという素地はあったのですが、ちょうどFBやらブログサービスやらも使いやすくなってきたのもあって、不動産メディアが乱立しました。
んでまぁそうすると現れてくるのがSEO会社が戦略切り替えて、自社メディア運営しましょうよーって言ってきてクソみたいな金額をふっかけてくるようになってくるんですが、こういう話は割愛。
いまだと、DeNAに買ってもらったiemoとか、本当不動産仲介やりながら運営するcowcamoなんかが有名ですかね。
※売れるかどうかはともかく自分の家がこんな感じで絶賛されたら脳内エンドルフィンドバドバ出そうなので、家売る時があったら頼みたい。
次はロボットかAIかビッグデータかはたまたARかVRかMRか
ロボットは、書籍「狭小邸宅」のモデルになったとまことしやかに囁かれるオープンハウスさんの渋谷店に結構な数のペッパー君がいますね。何しているかは見てないので分かりません。
接客ぐらいはデキそうですね。
AIはなんか目立ったものはないですね。最初に書いたマンション価格を出すサービスの中には「人工知能で価格査定」みたいなことを書いているサービスも小さいところではありますが、「それはビッグデータ解析なので、ビッグデータで価格査定と言ったほうがいいのではないか?」と思うところもあります。
IBMのワトソンとマイクロソフトのりんなとかがAIでは有名ですが、ぶっちゃけ高くて日本のスタートアップ資産では利用できないですねw
AR,VR,MRについては全く未知です。
私が思うのは、お客様が現物見ないで買える、借りれる、ここまで到達しないことには潮目は見ないかなと思います。
現物主義から潮目が変わった代表的な商品が洋服です。洋服は自分の体とマッチしないといけませんから、ほとんど店頭アンド店頭アンド試着アンド試着販売が一番だと思われてましたが、zozotownなんかすごいことなってますし、UNIQLOもネット販売は堅調です。
そこまでが、不動産業界とネットサービス業界の挑戦の連続になると思います。
自分で不動産条件を考える時代は来た。次は自分で不動産決定を下す時代
ちょっと自負はあるんですが、ネット化してきたことで、自らが能動的に自分の欲しい家をさがし、問い合わせる。そんな時代は到来させました。
つまり、今までは「自分引っ越したいんですけど、どこに引っ越したいか分からないので、一緒に探してくれませんか?不動産屋さん!」っていうお客様ばかりだったのですが、自分が引っ越したい条件を自分で考えて「俺、これ欲しい!」と考えさせるところまで来ました。
次がすごく現場として難しいところなのですが、
ではお客様は「これ欲しい」と言ったものを買うのか借りるのかと言うと…
買いませんし借りません。
実際に接客で話を伺うと、「これ欲しい」と思ったポイントはお客様が要求する本当に欲しい理由とはかけ離れていたからです。
キッチンにこだわっているというお客様がいますが、それは家族で住むという新しい門出に際し「家族を持つならキッチン使うから、キッチンにこだわるべきだよなぁ」みたいな一般的「べき論」に基づいた判断で、本当は「●●保育園狙っているから、その近く」の方が重要な要素だった。
こういったことが本当多くあります。
ですので、仮にIBMのワトソンが家探しを手伝う時代が来たとしても、お客様自体が、別に条件として意味のない情報を投げかけてくる以上、そのままの判断をするのが難しいのです。
一時間ぐらいワトソンと雑談していればワトソンは近い物件を紹介してくれるでしょうけど、パソコンの箱みたいなものやペッパーくんのような顔面に変化のないものと1時間以上話すのは、お客様の心のほうが先に折れそうです。
まぁかと言って、お台場にある科学館とかにいるリアルなロボットも難しいかなぁ。正直、嗜好抜きにしてもオリエント工業さんのリアルドールですら、ちょっと長時間は自信ないです。
要は、この真のニーズやウォンツを引き出すにはまだまだ人間が必要かなって。
ここの判断を人間じゃない何かに委ねることを良しとする時代をもたらした会社がリアルエステートテック(Real Estate Tech)を制すると思うんですよ。
今いる会社のどれになるのか?今中学生ぐらいの人がやるのか知りませんが、少なくともお金という非常に大事なものをネットに委ねることができる人間ですから、住む家をIT技術に依存することは可能だと思うんですよ。
欲しいと思ったらレコメンドされて、その場でVRで内見して、買うわ!みたいな。
私が死ぬまでの間に実現すればいいかな。
その時にはマイノリティ・リポートみたいな世界になっとると面白いんですけどねぇ。